2015年3月22日日曜日

第7回特別講座「春分から春の色を身に纏う 万葉集×草木染め」

第7回特別講座は、春分の日(3月21日)を前に、3月15日(日)に開催しました。
今回の講座は、好評いただきました第3回特別講座(9月21日開催:秋の草木染め)の続編として開催したのですが、秋とは全く違う驚きのある内容になりました。その模様をレポートします。
当日は、曇り空で、時折太陽が姿を見せる、少し肌寒い天候。しかし、植物たちは春の訪れをしっかりキャッチしていましたね。

会場は、秋の草木染めと同じ「東京港野鳥公園」。
今回は公園西側の「自然学習センター」を中心に開催しました。(ご協力いただきました東京港野鳥公園の皆様、ありがとうございました)
講座の冒頭は、恒例により、アースデイ大学・代表の生姜塚からのオリエンテーションで始まりました。
(いままで計7回の特別講座を開催してきましたが、受講リピーターの方も増えており、有り難い限りです)
第1部は、ゲスト講師「八木雄二さん(文学博士)」指導のもと講義とフィールドワークを行いました。前半の講義では、在来植物・春の木花についてのレクチャーがありました。
 
自然学習センターは、樹々に囲まれた「理科の実験室」の様な雰囲気なんです。気持ちが高まっていきますね。
講義の後、外に出て園内を観察。
先程の講義内容を、実際にリアルに体験することと共に、足下に起きている春の訪れを実感していただきました。
その後、草木染めに使用する「トウネズミモチ(唐鼠黐:モクセイ科の常緑高木)」刈りをしました。このトウネズミモチは、環境省が指定する「要注意外来生物」のひとつ。つまり、在来植物を脅かす存在なんです。
植物自体は危険な存在ですが、「染め」ではどんな色が出るのか愉しみ!という気分で、伐採作業が進みました。
 伐採したトウネズミモチは、早速、細切れに。和気あいあいと作業は進みます。

続いて、第2部がスタート(今回は、午前中がメニューが盛りだくさんで、忙しい!)
第2部「草木染め」は、前回に続いて、ゲスト講師「子安多江子さん(染織家)」指導のもと、シルクシフォン生地(オーガンジー)の「草木染め」を行いました。
エネルギッシュな子安さんに、受講者がグイグイ引込まれていきます。
草木染めで出来る「色彩の美しさ」に、参加者のテンションはアップしていきました(驚)!
今回は、2種類の染めに挑戦!
一つ目は、伐採したばかりの「トウネズミモチ」。鍋に入れ、30分近く煮込みます。
煮込んでいる最中、焦げ付かない様に、適度にかき回す必要があって、これ、ちょっと大変なんですね。
煮出しが出来たら、染めに進みます。
結果、淡い印象の「大人しい」染め上がりになりました。

もうひとつの草木染めは「タンポポ」染め!
予め摘んでおいたタンポポの花を、ネットに入れて煮出します。時間が経つにつれ、煮汁はどんどん黄色くなっていきます。「木花の色が、煮出すと、その色が出てくる」のは、当たり前かもしれませんが、「自然の力強さ」を改めて痛感しますね。
煮出し後、2種類の定着液を使って「2色の染料」をつくりました。
そして一枚の生地を、片側から、1色ずつ染めていく。
そして、色を定着させる為に、生地をガラス棒で30分程度突っつきます。いわゆる「ツンツン・タイム」のスタート。
受講者の皆さんで井戸端会議をしながら、楽しい時間が過ぎていきました。
もう一度火にかけて、定着の締め作業へ。
なんだか、料理番組っぽい雰囲気です!(笑)
そして、水ですすいだら、、、
凄い!綺麗な優しい黄色の「グラデーション」に染め上がりました!
受講者の皆さん、大興奮です!
ここで草木染めは終了。
その後、昼食タイムへ。怒濤の午前中を振返りながら、皆さんでピクニック気分を満喫しました。

午後からは、草木染めの生地を使った「コサージュ」作りに挑戦!
男性陣にとっては、1日遅れのホワイトデーのプレゼントになったかも?!
下にスポンジを敷いて、特殊な針で、生地を細かく叩いていくと、、、
生地に適度なドレープが生まれ、生地同士が繋がっていく。ちょっと驚きの体験になりました。
皆さん、完成形をイメージしながら、生地の組合せ・形状を工夫されていました。
とても集中した時間が流れ(約90分)、、、こんなに素敵なコサージュが完成しました。どれも個性的です!

そして、朝10時からの長時間の講座でしたが、あっという間に終了の時間を迎えました。受講者の皆様、ゲスト講師の皆様、ありがとうございました。
(力作を手にして、はい・チーズ!)

都心のコンクリートの覆われた場所で生活していると、実は「忘れてしまっている感覚」「奪われてしまっている感覚」があることに、改めて気付かされました。
公園にある「土」の上では、ふきのとうが芽吹き、池ではカエルの卵が増え、生きものたちは「春到来のサイン」を、古代から変わらずに発信しています。しかし、公園に来て、土の上を歩かないと、気付くことができません。
現代は、季節の変化・地球の変化は、実は「足下の小さな変化」から感じ取れるのに、それが出来ない環境になっています。我々人間は、利便性を手に入れた代わりに、何か「大切なもの」を失っているんですよね。
そのことに気がついて、それならば「どうするか?」と考えることが重要なのかもしれませんね。


(追伸)帰宅して、家にある植物に、コサージュを載せて記念撮影。やはり、自然のチカラで出来上がったものは、自然植物にとっても似合うんですね!なんだか、お互いが活き活きしている感じがします。