2015年2月21日土曜日

第6回特別講座「氷雪が雨水となり、大地が潤い始める時。海と山を「つなぐ」場を再発見!「干潟・湿地 X おむすび」

第6回特別講座は、二十四節気の雨水(2月19日)を直前に、2月15日(日)に開催しました。雨水とは、立春ら数えて15日目頃。空から降るものが雪から雨に変わり、氷が溶けて水になるという意味。草木が芽生える頃で、昔から農耕の準備を始める目安とされてきています。
今日の会場は、大田区にある「大森 海苔のふるさと館」。ここには、国の重要文化財に指定されている昭和30年代に造船された最後の海苔船が展示されなる等、海苔の歴史・文化を体験しながら学べる環境が整っている素敵な場所での開催となりました。
今日は気持ちいい晴天。会場前に掲げたアースデイ大学の幕も、映えました!
本日の講座は、2部構成で10時からスタート。
いつもの様に、アースデイ大学代表の生姜塚理恵の挨拶から講座ははじまりました。
第1部は、ゲスト講師:小山文大さん(海苔のふるさと会 理事)による「海苔ワークショップ」。東京湾の海苔の歴史を学び、海苔付け体験を実施しました。
東京湾での海苔養殖は、江戸時代に始まり、全国で東京が最も海苔をつくっていたそうです。しかし、1964年開催「東京五輪」の為、東京湾沿岸の整備の影響を受けて、海苔生産が終了してしまったそうです(ちょっと驚き)。2020年にも東京五輪が開催されますが、自然環境や伝統に負荷がかからない様な工夫された五輪であって欲しいと想いましたね。。。

その後、体験学習室に移動。いよいよ、大人気の「海苔付け体験」です。
海苔は冬にしか取れないんです(知ってました?)。秋口に海苔の種付け→冬に海苔採り→春には終了のサイクルなんですね。本物の海苔を見ながら&味わいながら、講座は進みました。

海から海苔を採った時は、とても長い。それを、細かく切る(海苔切り)作業があります。人間って面白い!と想ったのですが、最初は「包丁を両手にトントン刻んでいた」のですが、作業の効率化の為に「いくつもの刃を重ねて刻む装置」を開発!
早速、皆さんで体験!意外に面白い!
その後、海苔付けへ!刻んだ海苔を、海苔付け道具(和紙漉き道具の小さい版のイメージ)で、平べったい海苔にしていきます。
ちなみに、海苔のサイズがは統一されていて、基本は「横19cm・縦21cm」と決まっています!これを8等分したサイズが、朝食に出てくる海苔のサイズ(へぇ〜)
で、この「海苔付け」が非常に難易度高い!
木枠の中に「海苔を一気に流し込む!」んですが、上手く流し込めないと、均一にならず、穴が開いてしまったり、厚くなり過ぎていたり、、、受講者の皆さんで和気あいあいと海苔付け体験は進みました。
続いて、海苔を天日干しにします。専用の干し台に、上から順番に並べていきます。
最初は裏面を日光に当て、徐々に乾燥させていきます。
ここで、第1部は終了。皆さんの達成感溢れる顔に、想わず、記念撮影をしてしまいました!
時刻はお昼ですが、講座は続きました。
第2部「おむすびワークショップ」がスタート。というのも、このワークショップは、なんと、日本人のソウルフード「おむすび」づくり体験なんです(笑)!

最初に、食イベントのプロフェッショナル・大塚隆さん(カドマン企画 代表)から、おむすびの食材について解説いただきました。
今日の素材は凄い!
お米も、具材(鮭・明太子)も、そして、海苔も超絶品!(オーガニック食材提供にご協力いただきましたNPO法人 ポラン広場東京様、地元、大森の海苔問屋の皆様、ありがとうございました!)
続いて、ゲスト講師:坂本啓介さん(日本おにぎり協会 代表)からの「おむすび」トーク!
「おむすび」と「おにぎり」は何が違うの?
日本の大部分では「おにぎり」と呼び、関東〜東海道にかけて「おむすび」と呼ばれているそうです。諸説あるらしいですが、神の力を授かる為に米を山型(神の形)にかたどって食べたものが「おむすび」とのこと(神聖なるフードなんですね)。
更に「皆さんが集って、おむすびをつくる」こと=人と人のつながり=人と人の「結びつき」になる。これこそが「おむすび」!というお話がとても素敵でした。
更に「おむすび」の握り方講座もありました。
おむすびには「炊きたてのご飯(少し硬め)」がベスト!しかし「炊きたて=熱い」ので、その対策として、握る前に「手を20回程叩く」と熱さが和らぐとのこと。やってみましょう?!
・・・ということで、おむすびづくりスタートです!具材も準備OK!
おむすびが完成したら、いざ昼食タイムへ!
皆さん全員で浜辺へ!(えっ、浜辺?)
 会場である「海苔のふるさと館」は、「大森ふるさとの浜辺公園」に隣接しており、この公園には白い砂浜が広がっているんです。
そこで、皆さんで、先程作った「おむすび」を味わいました(最高!)
受講者の皆さんが意気投合、正に「おむすび」な瞬間でしたね!
食後には、こんな挑戦もありました!
海苔のふるさと会では、ここ浜辺公園で「海苔の生育実験」を実施。それを少しだけ体験させていただきました。
胴付長靴を着用した(ちょっと愉快な)メンバーが挑戦しました。
そして、どんどん海に入っていきます!風が少し強くなってきて、苦労していました。
会場に戻ってきたら、いよいよ海苔が完成間近!
海苔が乾燥している時に「音」をたてるのですが、それを「海苔が鳴く」と言っているそうです。確かに鳴いていました!
そして、海苔が乾燥=完成!!
受講者の皆さん、自分で作った海苔を回収している姿が、少年少女の様に、瞳がキラキラしていました!ご自宅で味わって、愉しんで下さい!
そして、あっという間に終了時刻15時に。
長時間の講座でしたが、皆さんの満喫された清々し表情が印象的でした。ご参加いただきました受講者の皆様、講師の皆様、ありがとうございました。

今回、普段何気に食べている「海苔」を中心に、東京湾の原風景に想いを馳せたり、海苔づくりの難しさに汗したり、人と人の結びつきを味わったり、と「見方を変える」と様々な発見(気付き)があることを身をもって体感することができました。
日頃、当たり前の様に接しているコト・モノに対して、少しでも「日頃と違うアプローチ」で接すると、再発見・新発見があるのではないでしょうか。私達が、この「日頃と違うアプローチ」に、スイッチを切り替える様な「意識」が持てる様になりたいものですね。

2015年2月8日日曜日

第5回特別講座「立春!新しい春到来と春告鳥が鳴くよ! 百人一首 X 琵琶」

第5回目の特別講座は、立春(2月4日)を目前にした1月30日、平日夜19時から開催しました。

新しい春到来と春告鳥が鳴くよ!(ホーホケキョ♪)

今回の会場は、目白の住宅街にある古民家ギャラリー「ゆうど」。とても素敵な雰囲気な場所で開催することができました。
暦の上では「春近し」なのですが、当日の東京は、なんと「雪」!会場「ゆうど」の中庭もうっすら雪が積もり、、、
会場にはストーブが、、、
偶然とは言え、「冬を肌身で感じながら、春を想う」様な気分になりましたが、今回の講座内容を考えると、少し緊張感の出る「いい演出」になったかもしれませんね。
今回は正座スタイルでの講座。
いつもの様に、アースデイ大学についての説明からスタートしました。

第1部は「百人一首」講座。
ゲスト講師「日本かるた塾・塾長の倉田賢治さん」による講座です。
競技かるたは、知らないことばかり。かるたの説明を聞けば聞く程、その面白さに引込まれてしまいました。例えば、
・100枚並べない。半数50枚は並べず、空札(カラフダ)となり、詠むけれども、御手付き用となる。
・競技開始前15分間は暗記時間。開始2分前から、素振り開始。素振りとは、もの凄いスピードでかるたを取るアクションのこと。良くテレビで見るアクションですね。
・自陣の札がゼロになったら勝ち。敵陣の札を取ったら、自陣の札を敵陣の並べる。
等々…、ちょっとスポーツ感がありますね。

実際に、かるた塾の皆さんのデモンストレーションがありました。
すごーい早さです!
続いて、受講者の皆さんが競技かるたを体験。
3名1チームでのチーム戦。倉田さんのかるたを詠む声が響き渡る中、アットホームな雰囲気に包まれました。「外」は寒かったけど、会場は熱気に包まれましたね(笑)

第1部終了後の休憩時間では、講座にちなんだ和菓子「春告鳥(菓匠 菊屋)」と福茶を愉しんでいただきました。「和菓子がカワイイ」と受講者に感心いただきました。

続いて第2部「琵琶演奏」です。
ゲスト講師は「琵琶奏者の田原順子さん」。(演奏中は写真撮影不可の為、ご提供いただいた写真になります)
有名な平家物語「祇園精舎の鐘の声…」、他1曲を演奏いただきました。
受講者の皆さん、琵琶演奏にグイグイ引込まれていましたね。
初めて琵琶演奏を聞きましたが、あの迫力は凄いですね。田原さんが物語を詠みながら、琵琶での演奏が進みます。琵琶の音が、物語の「空気感」をとても饒舌に表現していて、激しさ・悲しさ等の感情がよく伝わってきました。琵琶の世界の奥深さを知る、貴重な体験ができました。
演奏後は、田原さんを囲んで、しばしの歓談。
ということで、あっという間に2時間が経過、受講者の皆さんは大変満足された様子でした。ご参加いただきました皆様、ゲスト講師の皆様、ありがとうございました。

日本には、まだまだ知らない「凄いこと」があります。かるたにしても、琵琶演奏にしても、テレビや本で接するだけの「イメージだけの存在」でしたが、実際に、その世界の達人に触れることは、その「凄さ」=日本古来からの日本人の叡智に触れることに繋がっているんだと想います。
そして、この「凄い」と想う発見(気付き)にこそ、これからの地球を、これからの日本を、より良くしているヒントがあるのではないでしょうか。